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キングオブコント2009 感想

お笑い

第二回大会。決勝の出場者は8組。ネタを二回見せる。審査員はセミファイナリストの芸人100人(一人10点)。司会はダウンタウンが二人でやるなど現在のキングオブコントとはかなりシステムが異なる。終わるたびにダウンタウンがセミファイナリストにコメントを求める下りが結構面白いので、これはこれで番組としてずっと面白く見ていられる。メンバーも豪華ですでに結構テレビに出ている人ばっかりが出ているという印象で、「大会で優勝して人生変える」という緊張感はまだない。

1本目1番:東京03

「コンビニ強盗」ネタ。当時からライブは完売するなど、人気もあった東京03。実は前身となるアルファルファ(飯塚、豊本)もプラスドライバー(角田)も『爆笑オンエアバトル』でみてしっており、プラスドライバーは好きだったから最初リアルタイムで見たとき東京03として活動しているのを知らず嬉しかった記憶がある。コンビニ強盗自体はコントでよくあるシチュエーションだが、極端にビビる店長とまったく動じない店員との対比が面白く、やっぱりトリオのコントに置いて彼らの右に出るものはいないと思わせるようなシンプルだけど完成度の高い一本。審査員の点数は1000点中835点。

1本目2番:ジャルジャル

「寿司屋のしりとり」。今回見返してこのころから出てたのかとびっくりした(当時25歳)。出れて当然みたいなリアクションで、当時から才気走っている。大将と小僧が客が来ずに暇なので、しりとりをするのだが、お互いに負けたら店をあげる、給料を減らすというめちゃくちゃな条件でやるから緊張感が半端なくなっている。今見ても実にジャルジャルっぽい一本。審査員の点数は点数は734点。今見ると結構点数低い気がするが、当時より今の方が評価される気がする一本。

1本目3番:モンスターエンジン

「競馬の実況」。結成二年目にしてM1ファイナリスト、キングオブコントも決勝進出と当時めちゃくちゃ勢いがあった。これからのお笑いをけん引していきそうな雰囲気はあった。引退した老実況者が実況室に乱入して代わりに実況を始めてしまうという内容。爺さんが仕込み銃でもともといた実況解説者を動けなくする下りはめちゃくちゃ面白かったが、それ以降が展開に乏しかった。審査員の点数は771点。

1本目4番:ロッチ

「かつ丼」。当時結成4年目。ただこの時点で二人とも芸歴が14年ぐらいあったので、このタイミングで出てきたのは不思議ではないし、すでに結構テレビにもでていた様子。刑事が容疑者を取り調べしているのだが、容疑者は口を全くわらない。刑事が出前を頼むがその注文が覚束ないので今まで無口だった容疑者がどんどん饒舌になっていく……という内容。緊張感のある取調室でのコミカルなやりとりのギャップとどんどん立場が逆転していくのが面白い。今見ても面白いし、シンプルで上品で最高の一本だと思う。審査員の点数は807点。

1本目5番:天竺鼠

「居酒屋」ネタ。この時点で唯一の二回連続出場だった天竺鼠。居酒屋でサラリーマンがサラリーマン仕草を乱暴な言葉遣いで展開していくアイデアで突き進む一本。Wボケスタイルで川原が破天荒にボケて瀬下が突っ込むといういつものスタイルじゃなかったのは今見ると新鮮。逆にいうとそれが敗因かもしれない。審査員の点数は723点。

1本目6番:しずる

「冥途の土産」ねた。しずるも当時すでにめちゃくちゃ人気があって勢いがあった印象。ヤクザか裏社会の人間が同業者を縛り付けてこれから拳銃で処刑しようとするという非常に緊張感の高いシチュエーションだが、「冥途の土産」という言葉の意味をめぐって徐々に打ち解けていってしまう、という一本。シリアスな場面がその場にそぐわない些末なことで崩れていくという構造はロッチのネタと同じだが、こっちの方がシチュエーションとしてハード。もしかしたらハード過ぎてギャップも大きいのだが、ややハード過ぎたのかもしれない。審査員の点数は820点。

1本目7番:サンドウィッチマン

「ハンバーガーショップ」ネタ。いまや国民的漫才コンビとなったサンドウィッチマン。当時すでにM1で劇的な優勝を遂げており、無名ではなかった。もともとコント的な架空のやり取りみたいなのを漫才に落とし込んだようなネタでM1優勝し、コントにもかなり力を入れてやってきたコンビなので出演は必然。「常識」的な客と「ずれている」店員の掛け合いによって笑いが生じるという王道的な一本だか、一つ一つのボケとツッコミの完成度とキレが凄く、他を寄せ付けない名作。時事的なネタも入っているので通じないボケもありそうだが、もはやクラシック。アンタッチャブルやタカ&トシなどもそうだが、ツッコミもボケも均衡して高水準で面白いとこのような王道も進めるんだなとおもった。審査員の点数は878点。この時点で東京03を抜いて一位。

1本目8番:インパルス

「墓参り」ネタ。『はねるのトびら』にレギュラー出演もしており、すでにかなり人気も露出もあったインパルス。決勝進出発表の様子も実に淡々としていた。墓参りに来ていた堤下を板倉が娘を事故に合わせて死なせた若者と勘違いして殴りつけ、その失態を無理やりごまかそうとするコント。当然めちゃくちゃ面白いし、やっぱりTV慣れしてることもあって二人の演技も安定していて安心して見れる。審査員の点数は767点。これはかなり低いと思う。

2本目1番:天竺鼠

「コンビニ」超高齢のおじいちゃんが、それぞれコンビニの店長と客だという設定。年齢のせいでとにかくすべての動作がそんなわけない遅さで、それが面白い一本。商品名の言い間違いボケも面白かった。審査員の点数は829点。審査員コメントのコーナーで全く無名のコンビD・N・Aがダウンタウンにいじられており、これも印象的だった(そのD・N・Aの前列に座っていたのがかまいたち)。ダウンタウンはネタというか仕切りがめちゃくちゃ面白い芸人なんだなとこの大会で再確認。

2本目2番:ジャルジャル

野球をまったくしらない素人に野球を教えるというネタなのだが、野球どころか意思の疎通がうまくいかないというコント。実にジャルジャルらしいけど、後々の彼らのネタの完成度と奇妙さを考えてたらまだまだと感じる。考えてみたら言葉で遊びまくるネタと意思疎通できないネタの組み合わせがジャルジャルのキングオブコントのネタの組み合わせとして多い気がする。審査員の点数は805点。

2本目3番:インパルス

空き巣に入られた男が交番にとびこんで行って家に来てほしいと頼むのだが、なぜか警官は家に誘われた女性みたいな態度をとるというコント。審査員の点数は868点。面白かったが一本目ほどではないと個人的には思った。一本目の点数がもっとまともだったらもっと上位だったかもしれない……。

2本目4番:モンスターエンジン

会社を首になって占いに頼る主人公にその守護霊の落ち武者がボケたりツッコミを入れ続けたりするコント。オチは面白かった。審査員の点数は855点。

2本目5番:ロッチ

店長と店員が話し合ってバイトの採用を決定するネタ。巨乳の女の子とメガネの子が候補でどう考えてもメガネの子の方が条件がいいのだが、二人とも下心からメガネの子をなんとか落とそうとあれこれ変な理屈をこねたりするが笑いにつながる一本。審査員の点数は855点。着眼点は面白いけど女性は明らかに嫌だろうし、かなり内容的に引っかかるネタだから、2本目の点数ではかなり低めだが、これは仕方がないと思う。

2本目6番:しずる

卓球のペアの試合で相方の様子がおかしい、問い詰めてみると実はペアの片方が相方の彼女と浮気したと告白し、どんどん告白の内容がエスカレートしていくという話。しずるのネタ、内容としてはなかなか二本ともトピックがエグい。それをさらに笑いにしていくのは流石だとは思う。審査員の点数は831点。

2本目7番:東京03

名作として名高い一本。男女三人組の一人が3泊の旅行の初日に告白して振られ、険悪な雰囲気に。二人の恋愛沙汰に全く関係のない飯塚がめちゃくちゃキレまくるというコント。この一本、このあと微妙にアレンジを変えて何回か見たが、やはりこの回がベストな気がする。終わった後の芸人の反応もめちゃくちゃ良かった。審査員の点数は953点。異次元の点数をたたき出す。

2本目8番:サンドウィッチマン

理容師と客のコント。基本的に構造は同じ。店側が非常識なボケを繰り返し、客が鋭く突っ込みながらキレる。完成度はもちろん高いが、953点の壁は厚く、審査員の点数は865点で届かず優勝は東京03に。

まとめ

冒頭でも語ったが、「だれがコントで一番すごいのか白黒つけよう」みたいな第一回大会の雰囲気がまだ少し残っていたような大会だった。審査員も100名の芸人ということで、芸人仲間にウケの良い内容や、普段の人柄とかも割と作用してそうだなと当時うがった見方をしていたが、今見るとそんなこともなく、割とまっとうな点数だった。優勝した東京03が現場だけでなくお茶の間でも人気を博していく、という構図が今大会から出てきて、キングオブコントで人生が変わるみたいな図式の芽生えという意味でも重要な大会。

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